本日もご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
私は、群馬県太田市にある会計事務所、税理士の堀越 誠と申します。
青色申告は所定の帳簿(仕訳帳、総勘定元帳その他必要な書類(所規58))を記帳し、
それに基づいて確定申告書を提出することにより種々の特典(メリット)が受けられる
制度です。
青色申告のメリットとしては、貸倒引当金の設定ができるという特典があります。
ここで、貸倒引当金とは、売掛金や貸付金等の金銭債権が将来回収できないと思われる場合に、
回収不能見込額をあらかじめ見積り計上しておくものです。
見積額の算定は、個別の金銭債権を過去の貸倒実績に基づいて、個別に評価して計上します。
貸倒引当金は、マイナスの資産科目になります。
例えば、お店が得意先へ商品を売り上げた際に、その売上代金の請求を当月末締めで行い、現金を入金
して頂くのが翌月末であるとすると、代金の請求から代金の回収まで1カ月の期間が開きます。
この当月末時点における、得意先に対する未回収の代金のことを、「売掛金」と言います。
この売掛金は、翌月末に得意先様から現金で入金して頂ければ全く問題ないですが、
得意先の経営の悪化などから倒産してしまうリスクもあります。もしも倒産してしまったならば、
一生代金の回収はできなくなってしまいます。
こうした代金が不回収になってしまう状態を「貸倒れ」と言います。
貸倒れになっても、売掛金そして計上された金額はその年の売上高として計上されているので、
得意先から代金の入金がなされていないにも関わらず、その儲けの分を税金として納付する必要があります。
ですから、貸倒れによる税金の負担を緩和するため、12月末時点の売掛金については、一定の方法で計算
した回収不能見込額をその年の必要経費に計上することができます。
これを「貸倒引当金」と言います。
その場合の貸倒引当金の相手科目(反対科目)は、「貸倒引当金繰入額」という勘定科目で計上します。
また、貸倒引当金の大きな目的は、正確な期間損益計算をすることです。
必要経費として計上する貸倒引当金の計算は、その年の12月31日現在における売掛金や受取手形、貸付金な
どの売掛債権・金銭債権に対して、5.5%を乗じた金額となります。ただし、金融業の場合には、貸倒れのリス
クが他の業種に比べて高いため、3.3%となります。
しかし、貸倒引当金繰入額として必要経費に計上した額は、翌年度には貸倒引当金戻入として、収入科目
に計上しなければなりません。
ですから、翌年度に同額の貸倒引当金を必要経費に計上しても、節税の効果はありません。
貸倒引当金の節税効果が高いのは、開業初年度に計上した場合や、売上高が年々右肩上がりに増加している
場合となります。売上が横ばいから下がっている場合には、節税とはなりにくいので注意が必要です。
☑大切なポイントは、貸倒引当金は貸倒回収のリスクに備えて計上できる引当金であり、時には、節税の効果
もある。そして、貸倒引当金の大きな目的は正確な期間損益計算を計算することである、という事です。
本日も誠にありがとうございます。 堀越まこと経営会計事務所 堀越 誠
2017年07月10日