不動産所得者が65万円の「青色申告特別控除」を受けるためには?

2017年08月11日

  本日もご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、群馬県太田市にある会計事務所、税理士の堀越 誠と申します。
 
  65万円の青色申告特別控除は、事業所得者であれば、取引を正規の簿記の原則にしたがって
 記帳している方は、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して、
 期限内に提出した場合には、最高65万円の控除を受けることができます。

  これに対して、不動産所得者の方が65万円の青色申告特別控除を受けるためには、ある一定の
 要件があります。以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
  1.不動産貸付けが事業的規模で行われていること。
  2.取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
  3.記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して、法定申告期限内
   に提出すること。
  上記①について、事業的規模とは、社会通念上、事業と称する程度の規模で不動産の貸付けを行っている
 かどうかによって、実質的に判断します。

  建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものと 
 して、取り扱われます。

 ☒「5棟10室基準」(所得税基本通達26-9)
  ①貸間、アパート(棟割長屋を含む)については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上
   であること。
  ②独立家屋(①は除く)の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
   なお、賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況などからみて、①②の場合に準ずる事業があると
  認められる場合には、原則として事業として行われていると判断されます。

 ※空室がある場合には、広告などで賃貸の募集をかけており、いつでも入居者に貸せる状態を維持していれ
  ば、1室としてカウントされます。
 ※「5棟10室基準」に満たなくても、賃料の高い高級マンションなどで貸付面積も広い場合は、事業的規模
  と認められる場合があります。
 ※建物が共有の場合は、共有部分で按分するのではなく、共有者それぞれが建物をカウントできます。按分
  する前の棟数や室数で判定されます。
 ※通達には記されていませんが、基本的には、駐車場スペース5台を1室と換算して考えます。おおむね50台
  分の駐車スペースの貸付を行っていれば、駐車場のみの貸付の場合でも、事業的規模になります。
 ※戸建ては、1棟で2室と換算します。

 ☑大切なポイントは、不動産所得のある方は、事業的規模で行われている場合は、取引を複式簿記により記帳
  し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、3月15日までの法定申告期限内に提出することで、
  青色申告特別控除額が、最高65万円まで受けられるという事です。

 本日も誠にありがとうございます。 堀越まこと経営会計事務所 堀越 誠

 

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