消費税の「税込経理方式」とは?

2017年08月01日

  本日もご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、群馬県太田市にある会計事務所、税理士の堀越 誠と申します。

  消費税の経理処理には、「税込経理方式」と「税抜経理方式」の2つの方法があります。
 事業者はそのいずれかの方法を任意に選択することができます。
  しかし、免税事業者である場合には、税込経理方式しか選択できません。

 ☒「税込経理方式
  税込経理方式とは、消費税の額とその消費税に係る取引対価の額を区分せずに、経理する
 方法を言います。よりシンプルに言うと、課税取引については、全て消費税込みの金額で処理
 する方法です。
 
  例えば、課税商品を10,000円で掛で販売した場合の仕訳は次のようになります。
  (売掛金)10,800 (売上)10,800

  売上は、請求する消費税込みの金額で「売上」として経理します。また、「仕入」についても
 請求された消費税込みの金額で「仕入」として経理処理することになります。
 
  さらに、その他の経費の支払いや固定資産の取得の際も同様に、消費税込みの金額で経理処理します。
  なお、税込経理方式は、決算において納付税額が確定した場合には、原則として翌期に納付した時点の
 消費税額の金額を「租税公課」として費用計上することになります(下記②)。
  これに対して、決算修正で費用計上することも認められます(下記①)。

  例えば、消費税額が10,000円の場合の仕訳には次の2つの方法があります。

  ①今期に発生した消費税を、今期に計上する場合
   決算時(今期):(租税公課)10,000 (未払消費税等)10,000
   納付時(翌期):(未払消費税等)10,000 (普通預金)10,000

  ②今期に発生した消費税を、翌期の納付時に計上する場合
   決算時(今期): 仕訳なし
   納付時(翌期):(租税公課)10,000 (普通預金)10,000

  ①の場合には、今期発生の消費税を租税公課として計上し、今期の費用にできるため、今期の利益を
 少なくすることができます。今期の節税効果となります。
  ②の場合には、今期発生の消費税を翌期に租税公課として計上することになり、翌期の費用になるため、
 翌年度の利益を少なくすることができます。翌期の節税効果となります。

 ☑大切なポイントは、税込経理方式は、消費税の額を「租税公課」勘定で経理処理しますので、損益計算に
  影響を与えることとなります。全ての取引を税込み金額で計上するので、日々の経理がシンプルです。
  しかし、売上高も消費税分を含めて計上されるため、実際よりも売上高が大きく見えるので、注意が
  必要です。

 本日も誠にありがとうございます。 堀越まこと経営会計事務所 堀越 誠

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