「法人成り」により引き継いだ、事業用資産の処理とは?

2017年08月08日

  本日もご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、群馬県太田市にある会計事務所、税理士の堀越 誠と申します。

  おかげさまで、めでたく個人事業が成長・発展し、法人事業へ移行する「法人成り」により、
 組織変更を行った場合には、個人事業資産および負債を、法人に引き継ぐ処理を行う必要があります。

  引き継ぐ方法には、譲渡(売却)、賃貸、譲与、現物出資など種々の方法があります。
 一般的な引継ぎ方法の譲渡(売却)とは、会社設立に伴い、個人資産及び負債(現預金・売上債権・固定資 
 産・買入債務・借入金等)を、個人から法人に適正対価(譲渡時の時価)で譲渡(売却)することです。

  ただし、個人の土地・建物を法人に時価で譲渡(売却)してしまうと、個人に譲渡所得税の負担が
 発生することになるので、一般的には、土地・建物については法人に譲渡(売却)せずに、法人は個人事業か 
 ら賃借するという形態をとるのが普通です。

  会社設立後の第1期の税務について、法人成りにより、個人の事業用資産を引き継いだ場合には、
 中古資産の取得として処理することになります。
  したがって、決算期末の減価償却で、事業用資産の今期の減価償却費を計上します。

 ☒中古資産の耐用年数の計算方法は次の通りです。
  購入した時点で、中古資産の経過期間が耐用年数を全部を経過しているか、全部を経過していないのかに 
 よって計算方法が異なります。

 ①購入した中古資産の経過期間が耐用年数の全部を経過している場合の計算方法
   中古資産の耐用年数=新品の場合の法定耐用年数×20%
 
 ②
購入した中古資産の経過期間が耐用年数の全部を経過していない場合の計算方法
  (一部経過している場合)    
   中古資産の耐用年数=(新品の場合の法定耐用年数-中古資産の経過期間)+(中古資産の経過期間
                             ×20%)
  ※計算した年数に1年未満の端数がある時は切り捨て、2年に満たない場合は最低2年として計算します。

 ☒事業年度が1年未満の場合の減価償却費の計算方法は次の通りです。
  設立第1事業年度は事業年度が1年未満となるため、次のように改定償却率計算して、減価償却費の計算を 
 行います(新定額法、新定率法)。
   減価償却費=減価償却資産の法定耐用年数に応ずる償却率×その事業年度の月数/12

 ☑大切なポイントは、個人事業から法人へ資産を売却する引継ぎ方法が、一般的な方法であるという事です。
  その場合には、個人事業主と法人との間で売買契約書が必要になります。
  また、法人から個人への支払いがまだの場合には「未払金」で処理することにも注意が必要です。

 本日も誠にありがとうございます。 堀越まこと経営会計事務所 堀越 誠
 

 

  |